TMS(津川数学セミナー)

早川 怜一朗君(灘校卒)東京大学理科一類合格

大学入試、特に東大入試においては、きわめて短い時間の中で素早く問題を解いていかなければなりません。従って受験勉強においては、必然的にいかに早く解ける問題を解き、解けない問題を放棄するかに重点を置くことになります。こうした勉強をしているうちに、一見してわからない問題に時間をかけて取り組み、解法を見出すという本来の数学(やその他の理系科目)の在り方や愉しさはどこかへ消えてしまうのが普通です。また大学入試は高校の指導要領に基づいて行われますが、数学の指導要領では、線形代数や解析学などの大学以降において重要な考え方に触れる機会が少なく、大学以降の学習に受験を役立てることが難しいのが実情です。(この点は微積分を使用しない高校物理など、他教科でも同様です)大学に入ることはあくまでその後の人生の出発点に過ぎないことを鑑みれば、こうした受験専用のテクニックを磨くことに終始するのではなく、大学に入ってからも役に立つ知識や、問題への取り組み方を習得することに時間を使いたいと思うのは誰でも同じでしょう。けれど受験勉強とのバランスをとりつつ、そうした勉強を自分一人で進めるのはなかなか大変なものです。インターネットが発達し、様々な有用な情報が無料で手に入る時代とはいえ、必要な情報を選び出し、吸収するにはどうしても手間がかかります。また入試問題に取り組むうえでも、採点基準を自分で把握し、実力を適切に判断することは困難でしょう。 大学以降につながる学習と受験勉強、その双方の手引きをしてくれる場があった方がよいに決まっています。中学1年の最初から高校3年まで6年間TMSに通った筆者にとって、TMSはそうした存在でした。高校2年までのTMSの授業では、現行の中学・高校の教育課程にとらわれることなく、数学を本質から学ぶことができました。テキストには豊富な演習問題があり、特にD問題を時間をかけて考えることで、大学以降でも通用する思考力の訓練になったのではないかと思います。高校3年の授業においては毎週、時間を測ってのテスト形式の演習があり、毎回先生が答案を添削してくださいました。採点基準が厳格であり、通常の模試を受けている時には見過ごしてしまうような論理の穴を埋める役に立ちました。このように本当の数学の学習と受験数学の準備の両方に役立つTMSのような塾はなかなかないと思います。 後輩の皆さんにもメッセージを。中学、高校の教育を取り巻く環境が大きく変化しようとしている今、何を学ぶべきか、悩んでいる人も多いでしょう。その答えは、結局のところ、大学以降でも通用することを学ぶという一点に尽きると思います。中学、高校の指導要領の枠に縛られず、学問の本質を正しく知り、自分の頭で考え抜くこと。つまりTMSで行っているような勉強が、最終的に自分を支えてくれることになるはずです。大学入試の制度変更などに過度に煩わされることなく、そうした学びに集中してください。 最後になりましたが、6年間筆者の学びを支えてくださった津川先生に、深くお礼を申し上げます。